インターネットの普及と物流の進化により、誰でも簡単に中国から商品を取り寄せられる時代になりました。しかし、「中国輸入」と一口に言っても、その方法や手続きには大きな違いがあります。それが「個人輸入」と「商用輸入(事業用輸入)」の違いです。
これから中国輸入ビジネスを始めようとしている方は、まずこの2つの違いをしっかり理解することが重要です。この記事では、それぞれの特徴やメリット・デメリット、手続きの違いなどを詳しく解説します。
個人輸入とは?
個人輸入とは、「個人が自分で使う目的」で海外から商品を取り寄せることを指します。事業ではなく、あくまで私的な使用の範囲内で行う輸入です。たとえば、趣味の商品や日用品、コスメなどを自分用に買う場合が該当します。
特徴
- 輸入品の販売・転売は不可
- 関税の計算が簡略化されているケースが多い
- 通関も比較的スムーズ
- 少量でも対応可能
メリット
- 低コストで始められる
- 特別な許可や届出が不要
- 手続きが簡単
デメリット
- 転売目的での輸入は税関で止められるリスクがある
- 輸入量に上限がある(目安:1回の輸入で原則16,666円以下の課税価格)
商用輸入とは?
商用輸入(事業用輸入)とは、「販売や業務に使う目的」で海外から商品を仕入れることです。Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどで販売するために中国から商品を輸入するのが典型的な例です。
特徴
- 転売目的の輸入
- 通関時に事業者としての申告が必要
- 商品によっては輸入許可や検査、表示義務がある
- 税金や関税の計算が明確化される
メリット
- 大量輸入が可能
- 仕入れ単価を下げやすく、利益率を確保しやすい
- 取引先や顧客からの信用が得られる
デメリット
- 輸入手続きが複雑
- 輸入者としての責任(表示義務や安全基準など)が発生する
- 場合によっては専門の通関業者が必要になる
両者の主な違いを表で比較
項目 | 個人輸入 | 商用輸入(事業用輸入) |
---|---|---|
使用目的 | 自己使用 | 販売・業務利用 |
通関の申告 | 個人名義で簡易通関 | 法人名義または個人事業主として申告 |
販売の可否 | ×(原則禁止) | ○(自由) |
関税・消費税 | 一部簡易税率適用あり | 原則、正規の課税対象 |
法的責任 | 基本的に発生しない | 表示義務・安全基準などが課される |
仕入れ量 | 少量が前提 | 大量でも可能 |
どちらを選ぶべきか?
趣味で欲しい商品を取り寄せたい場合
→ 個人輸入がおすすめ。タオバオやAliExpressなどを使って、好きな商品を少量ずつ買うことができます。
ビジネスとして輸入・販売を行いたい場合
→ 商用輸入を選ぶべきです。特にAmazonや楽天での販売を視野に入れているなら、最初から商用輸入を前提にしたスキームを組むのが安全です。
税関にチェックされるポイント
個人輸入と偽って実は商用だった、というケースは税関で見抜かれることがあります。特に以下のような条件に該当する場合は注意が必要です。
- 同一商品を大量に輸入
- 同一住所に短期間で何度も輸入
- 明らかに「個人利用」とは言えない数量や内容
こうした場合は、課税対象となり、最悪の場合は商品が没収されたり、罰則を受けるリスクもあります。
まとめ
中国輸入を始める際には、「個人輸入」か「商用輸入」かを明確に区別することが非常に重要です。自己使用が目的であれば個人輸入で十分ですが、販売を前提とするなら、最初から商用輸入としての準備を整えておくべきです。
商用輸入は手続きが複雑になる反面、ビジネスとして大きな利益を生む可能性もあります。自分の目的や事業計画に応じて、正しい方法を選びましょう。